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2012年06月07日

京都人類学研究会6月例会

京都人類学研究会6月例会について、下記のとおりご案内申し上げます。
奮ってご参集ください。

【発表者】
小川さやか(民族博物館)

【演題】
「ぱちもんの世界からみる現代アフリカの消費文化」

【要旨】
アフリカは世界最大の中古品消費地である。近年、世界最大の非正規品の消費地にもなりつつある。2000年以降、中国をはじめとするアジア諸国からの非正規品(コピー携帯、海賊版DVD、偽ブランドの衣料品・家電製品など)が急速にアフリカに流入し、瞬く間に消費生活に浸透していった。これらの非正規品は、中国語で「山寨商品」と呼ばれる。「山寨」とは「山のなかの砦」を意味し、もともとは農民の反統制運動を指す言葉であったが、現在では「パクリ」や「偽物」「ゲリラ」「非官製」「草の根」の意味で広く流通している。
わたしはこれまで中古衣料品を扱う零細商人の研究をしてきた。最近では、衣料品に限らず中古品と非正規品の流通・消費を対象として、アフリカの消費文化を研究している。中古品も非正規品も、大量消費・廃棄(使い捨て)やイメージ・記号の消費といった近代消費文化と、この消費文化を維持・再生産してきたグローバルな経済関係を考察するうえで非常に興味ぶかい対象である。これらの商品が創りだしている世界―「廃棄からはじまる世界」と「コピーからはじまる世界」―は、近代消費文化やグローバル経済の発展動向と連続性を持ちながらも、異なる原動力によって独自の文化を発展させている。本発表では、とくに「コピーからはじまる世界」に関する研究の展望を話したい。
山寨商品とそれを生みだしている山寨文化はしばしば、知的財産権保護の観点から批判されたり、単線的な工業化モデルに位置づけられ「発展途上の」経済文化(正規品を生産しうる前段階)だと認識されている。いっぽうで、山寨文化を「リーダー不在の社会運動」「百度百科型生産方式」などと評し、フォード式の生産方式やピラミッド型の管理生産体系とは異なる戦術・論理でうごく進化した経済文化として積極的に評価する研究もある(cf.
阿2011)。山寨社会では、アマチュアやオタクをふくむ零細な工場が、ウィキペディアを制作するように関わりあい、ブランド企業では実現困難なスピードで膨大な数の多様な―「奇抜だ」「突拍子もない」などとメディアで評されるモノをふくむ―製品を生産している。
このような非正規品を輸入し流通させているアフリカの零細商売の世界(インフォーマル経済)は、多くの面で山寨文化と共通したダイナミズムをもっている。インフォーマル経済もしばしば、フォーマル経済から押し出された人びとの一時的な避難所といった理解がなされがちである。しかしこの無定型な経済は、通常の信頼構築やモード化が困難な―極端に早い速度でモデル(デザイン)チェンジがなされる玉石混淆の―非正規品を、異なる文化的背景と嗜好性をもつ人びとが混在するアフリカ社会で流通させていくうえで、独自の論理・戦術・経済文化を持っている。
本発表では、これらの経済文化から生みだされる消費文化(ある種の使い捨て文化)とは、いったいどのような生産者・商人・消費者の想像力/創造力、必要性、願望(の共鳴と不協和音)を反映して動いているのか。現在、構想していることを述べたいと思う。

【コメンテーター】
未定

【日時】
2012年6月25日(月) 18:30-20:30(開場18:00)

【会場】
京都大学稲盛財団記念館・中会議室
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_m.htm

【備考】
* 京都人類学研究会は京都を中心とする関西の人類学および関連分野に関心をもつ研究者・大学院生がその研究成果を報告する場です。
* 事前の参加予約は必要ありません。
* どなたでも自由に参加いただけます。
* 当日は資料代として200円いただきます。

【お問い合わせ先】
京都人類学研究会事務局:inq_kyojinken[at]hotmail.co.jp
[at]を@に変えて送信して下さい。

京都人類学研究会2012年度学生幹事

泉直亮 江原等子 川口博子 川崎弘朝
園田浩司 辻田香織 長岡慶 中屋敷千尋
松下綾日 宮木和 松井臣央 山口亮太

京都人類学研究会2012年度代表

高田明(http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/)
  

Posted by 株式会社CSセンター at 11:35Comments(0)講演会